ー元会社員が珈琲屋になりました。転職してフリーランスになった身だから感じることがいろいろあります。私なりの独立開業の哲学を書きます。ー
皆さん身内贔屓の強いお店は好きですか?身内だったらいいですけど、お店のお客様のほとんどは身内ではありません。
なんだかイケイケで派手な生活をしている経営者は好きですか?一部の人は好きかもしれませんが、一般的には応援されにくいと言えると思います。
そう、経営者ははしゃいではいけないのです。絶対に。
理由は嫌われるからです。
お店を経営する上で絶対に必須なのは「応援してくれるお客様がいること」です。流動的な観光などの一見さんばかりのお店の経営は危険だし疲弊します。
それなのに「身内で楽しそう」だったり「生活がイケイケでうまくいってそう」などと思われると、応援してもらえないんです。お客様目線で言うならば、応援したくてもしにくいんです。
私が特に警鐘を鳴らしたいのが「身内客問題」です。この場で身内客とは家族や友達など、お客様として出会った人ではなく、あらかじめ関係性があって尚且つお店にお金を落としてくれる人のことです。
身内なので定期的に来てくれます。来たらこちらも相手をします。他のお客様よりも過剰に相手をせざるを得ないのは当たり前ですね。せざるを得ないというか、自分も楽しくなってしまうのでついつい盛り上がって話してしまうんです。
そこにはじめましてのお客様が来た時の気持ちを考えてみてください。
気になっていたお店に行って、そこの店員さんがずっと身内客と楽しそうに話していたら邪険にされたように感じてしまう。
楽しそうに身内客とトークしている中で「注文いいですかー?」と言いにくい。
あんまりいい印象にはならないのが現実です。
身内客がものすごい頻度で来てくれて、それで経営が成り立つなら言うことないんですが、身内客は半年に1回くらいしか来ません。それなのに大事な新規のお客様との交流を邪魔しているのです。
私たちは8年前に北海道札幌から福岡県糸島に移住してきてお店を開きました。実はこちらに知り合いは一人もいなかったので、身内客はゼロなんです。今となっては親しくなった人たちが来てくれますが、家族でもないし昔っからの友達でもない、私たちが珈琲屋であることが前提で出会っている人たちばかり。そして経営者が多い。他のお客様がいると遠慮して話をしないような配慮ある人たちばかりです。
私も妹がお店に遊びに来たら、中学校の時の友達が遊びに来たら、きっとはしゃいでしまうと思います。家族や友達のいない移住先でお店をやるのは、そう言う意味でとてもストイックになれました。全てのお客様に同じように接することができたと思います。
経営者は自分のお店ではしゃいではいけません。私もたまに間違ってはしゃいで反省しています。顔が割れているので糸島市付近でははしゃいではいけません。なんか窮屈だなって思いますか?はい、経営者はとっても窮屈ですよ。お店の顔ですから。そう言う意味では会社員のように仕事を忘れられる休日なんて、ありません。