ライフワークバランスとは「仕事と生活をどちらも充実させる働き方や生き方」のことだ。就職先や転職先を選ぶ際には欠かせないポイントの一つである。
だけど私は珈琲屋を開業してライフワークバランスという概念を捨てた。
ライフワークバランスを保つとは、「仕事が生活を侵食しないように気をつけること」に他ならない。
働きすぎない。休日は仕事を忘れてしっかり休む。そんな働き方を変える動きは昨今珍しくない。
自分のお店を持つと、仕事が生活を侵しまくる。週5日で仕事は終わらないので休日もパソコンに向かう(というか営業日はパソコンに向かう暇がないので休日しかできない事務作業がある)。四六時中お店のことを考えてしまう。私たちは火曜水曜が休みなのだが、取引先の会社は働いている曜日なのでメールも電話も来る。
初めの頃はつらかった。「休みの日なのに仕事してる!」と発狂していた。
だけどある時から、1日単位で仕事の日と休みの日を区別することをやめた。休みの日であっても気分が乗っていたら仕事する。仕事の日であっても昼寝したり買い物しに行ったりすることもある。仕事をしている自分と、休んでいる時の自分を区別するのをやめたのだ。
この気ままな感じが今はとても楽だ。
結局旅行へ行っても外食へ行っても、「これって素敵なアイデアだな」と自分の仕事に落とし込もうとしたりするので、脳みそはいつも仕事モードなのだ。だけどそれでいい。「今日は仕事しないぞ」と制約を設ける方がずっと疲れるのだ。
私はバランスを保つことをやめた。仕事ばっかりの時期が人生にあったって、いいじゃないか。