森とコーヒー。はじまりの話。⑤「珈琲へのこだわり」

森とコーヒー。は福岡県糸島にある小さな珈琲店です。

お店のはじまりのストーリーを書いています。書き手は妻の方。ぜひ①からお読みください。

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今回は、珈琲についてこんなふうに考えていますという内容です。開業当初から変わらない私たちの珈琲へのこだわり、聞いてくださいませ。

「すでに珈琲屋が世の中にいっぱいある。けどやろう。」

そもそも私たちが開業する時、珈琲屋が足りないなんでことはなかった・・・。これは紛れもない事実です。

だけど私たちは立ち止まりませんでした。それはなぜか。やりたかったからです。

自家焙煎の珈琲屋がたくさんある昨今。

隣に珈琲屋がある場所で珈琲屋をやるべきではないのが感覚的に理解できるように、事業を始めるときのセオリーとして競合が多い業界は避けるべきなのだ。

だけど私たちのような小規模事業者はどうだろう、敵で真っ赤な海のそのほんの隅っこで生き残れるのではないだろうかと思いました。まるで海に出現するタイドプール(干潮で海水がひいたとき岩の隙間などにできる水たまりのこと)みたいに、小さな小さな世界を作って楽しくできるんじゃないかと妄想しました。

他の珈琲屋さんの真似ではなく、”こんな世界で珈琲を飲んだら美味しそうだな”という物語を書くような気持ちでお店を作りました。

「焙煎したての新鮮な珈琲豆という”ありきたり”な特徴を当店の売りにしました。」

当店は焙煎から4日以内の新鮮な豆のみを販売しております。ウェブショップでも発送時に焙煎4日以内であることを徹底しております。

焙煎したての豆はこうばしくて、とても軽やかです。そこから日数が経つにつれてコクや深みが出てきます。

そんなふうに珈琲豆の味というのは移ろうものなのです。その全ての過程にそれぞれのおいしさがあります。

”豆を購入した人があらゆる時期のおいしさを感じられるように。”これが焙煎から日の浅い状態でお渡ししたい理由です。

”焼きたてであること”を大事にしていますが、はっきり言って私たちだけが見つけた個性あふれるセールスポイントではないと思います。他にも焼きたてが買える店はたくさんあります。

だけどいいんです。人と個性が被っていたって気にしない。凡庸(すぐれた点がなく平凡なこと)な私たちが考えたんだからしょうがない。本心でこれがいいと思っているから、いいのです。

「深煎りのお店です。」

私たちが生まれ育った札幌の街にあった喫茶店は、深煎りの珈琲を出すお店が多かったように思います。

最近は浅煎りの酸味があってフルーティな味わいの珈琲を出すお店が多いですね。特別な一杯という感じがしてそれもいい。

だけど私たちが売っているのは日常のための珈琲です。毎日飲んでほしい。劇的な刺激や感動はいらない、「うーん、いつもの味」と思える”普通の味”を作りたいと思っています。

深煎りの、酸味がない、癖の強くない珈琲。だけど何故だろう、なんだか懐かしくって、家にいる時間がいいなと思える良い香り。これが当店の味わいです。

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