私にはむいてない?呪いの言葉に気をつけろ。

私は長年、声が小さくて覇気がないと言われてきた。よって接客を伴うサービス業は向いていないと言われたことが何度かある。

だけどうちのお店ではそれでいいわけで。

森とコーヒー。は落ち着いた大人のためのお店で、大きな声でいらっしゃいませと言う方が場違いだ。多分一般的なお店ではあり得ない声量しか私は出していない。でもそうするとお客様も小さな声で返してくる。店内でお客様同士がお話しするときに(会計後に珈琲ができるのを待ってくれている時など)小声でヒソヒソ話している時さえある。「店内大声禁止」と張り紙をしているわけではない。お客様がここは静かにした方がいいのかな?とこちらの空気を汲んでやってくれているのだ。

子供の時、親から「これは向いてない」と言われたことがいくつかある。

大人になってからも、年上の人から「あなたこの仕事向いていないよ」と言われたことがある。

きっと誰だって一度や二度はあるだろう。ひどい人は何度も言われた経験があったりするかもしれない。

「あなたは向いてない」は呪いの言葉だ。その後の人生においてしばらく「私ってこれ向いてないんだ」と思い込んでしまうから。でもその指摘、間違っている場合があるから要注意。そもそもどうしてそんなことが他人にわかるのか。私より長く生きているからわかるのか。だけど親が私に「向いてない」を放ったであろう年齢に私はもうなっているけど、人の向き不向きなんてはかれるようにはなっていない。ましてや成長していく子供なんて未知数すぎて余計わからない。

自分というのは日々変わっていく。世界も日々変わっていく。サービス業の形は多様化し、お客様が店員に求めるものも変化した。最近のアパレルショップの店員さんはしつこく話しかけてこない(私が若い頃は大きな声で話しかけて店内でピッタリマークしてくる接客スタイルが当たり前だった)。向き不向きなんて、本当に誰にもわからないのだ。

私は覇気もなければ声も小さい。笑顔もぎこちない。だけど子供の頃から人に何かを説明するのが得意だった。高校生の時プレゼンというものを初めてやった。とても気持ちよかったのを覚えている。お店の店員は実はずっとプレゼンをしている。お店のこと、商品のこと、相手の状態に合わせて言葉や内容を変化させ、そして心を変化させる。私にとって自分のお店でやっている接客は、大好きなプレゼンに限りなく近い行為なのだ。

向いていないかどうかは、それをとことんやってみないとわかりませんよ。やってみた時、どんな自分が顔を出すのか、わかりませんから。

それに向いていないけどやりたいなら、やったらいいと私は思う。


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