コーヒー屋になるまでの話。④

会社に行けない、ダメ人間。

良性突発性頭位めまい症という病気になった。

原因は不明。文字通り頭の位置をダメな方向(この病の人は人によってNG角度があると思う)に動かすと急に回転性のめまいがやってくる。危険なのは寝ている状態から起き上がる時。いまだに発作的にめまいは襲ってくる。治ってないのだ。良性だし生活は緩やかなのでほっておいている。しかし朝9時から始まる仕事に週5ではもう行けないだろう。なんてダメな人間なんだと嫌だった。でも今は仕事を自分たちで作っているから「会社に行けない=ダメ人間」とは思わない。

私は今、夫と二人でコーヒー屋をやっている。開店時間は12時から。どうしても朝起きられない時は開店準備は夫一人でやる。

何かしらの理由で会社勤めが辛い人は、開業すれば(自分で作った仕事をすれば)いいと思う。

確か最初に発症したのは2015年の春頃だったと思う。友達の家で一晩眠って起き上がろうとしたら、上と下がわからないくらい目が回ってへたり込んだ。とっさに症状を友達に悟られまいと思い、どうにか家を出て駐車してあった自分の車で3時間くらい休んだらどうにか運転できるようになった。

それからと言うもの、たまに突発的にめまいはやってくる。立ち上がれないほどのレベルのやつだ。しかもそのあとは乗り物酔いの気持ち悪さがやってくる。私は乗り物に弱い。船はもれなく吐くし、いまだに飛行機が苦手。めまいがした朝は通勤電車に乗ることが難しかった。

月に1回くらいの頻度から始まり、最終的には週に1回は会社を休むようになってしまった。以前の投稿で述べたように、開業資金の貯金のために働かなければ行けない時期に、有給は使い果たし、欠勤も使い果たし、ついには休職までしてしまった。最後はもう退職しか道が無くなり、一度退職した後同じ職場にパート職員として復帰させてもらい2017年3月までどうにか働いた。元職場には多大な迷惑をかけたにもかかわらず、どうにか職場にいさせようとしてくれた直属の上司や周りの方々に言い切れないほどの感謝がある。

いまだに理由はわからない。ずっとストレスだと思っていた。当時は結婚や移住に関して母親から猛反対されており、精神的に疲弊していた。また会社を休む申し訳なさがまた自分を追い込むという、救いようのない負のスパイラルにはまっていた。

現在、特にストレスはないが、めまいはたまにやってくる。もう体調として付き合うしかないのかなと思う。でも会社員のままだったら「なんでこんなに自分はダメなんだ」と思い続けていたと思う。なんかせつない。

朝9時出勤、週5日が向いてないのだ。ただそれだけ。会社に勤めることが正義だと思い込まされていたから、自分をダメだと卑下してしまった。日本の働き方の意識が変わって、有給が取りやすくなって、残業が少なくなっても私には無理。体調がいいときはバンバン働くけど、長いスパンでそれをキープできないのだ。ちゃんと仕事している会社のみんなを尊敬している。でもそこからこぼれ落ちたことは社会からこぼれ落ちたことではない。自分の都合に当てはまる企業なんてなかなかない。なんの資格も特技もない普通の34歳。あっても雇ってもらえない。だからコーヒー屋を自分で作って社会に食い込んでいる。(開業の理由はもちろん他にもある)

会社が辛くて病んでしまう人の話を聞くと、すごく心が痛くなる。やめちゃえばいいという簡単な話ではないことはわかっている。でも仕事って1回しか選べないんだっけ?習い事とか恋人とかジム通いとかって合ってなかったら変えますよね。特に結婚相手なんて一番自分に会う人を必死で探しますよね。それぐらいのこと、仕事に対してもやっていんじゃないかと思う。

合わない環境で、自分をダメにするのはもったいないことだ。

書いた日:2019年6月27日

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